皮膚のバリア機能と化粧品の役割

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「皮膚のバリア機能」という言葉をきかれたことはありませんか?バリア機能とは、読んで字のごとく「皮膚を守るためのバリア」の機能を意味します。美しい肌を保つためには、「バリア機能が良好な状態である」ことが大切。そのサポートために、スキンケア化粧品があります。バリア機能を理解すると、お手入れのポイントが見えてきます。

皮膚のバリア機能

バリア機能の具体的な機能は、2つあります。
1.体内の水分蒸発を防ぐ保湿の役割 2.異物の侵入を防ぐ保護の役割

化学物質、大気汚染物質、ダニ・ハウスダストなど

このバリア機能は、皮膚内にあるうるおい成分によって保たれています。つまり「皮膚内にうるおい成分が充分にあれば、バリア機能は健全な状態で機能する」ということになります。皮膚が持っているバリア機能を保つうるおい成分をご説明させていただくために、簡単に皮膚組織についてご説明させてください。

皮膚はいくつかの組織に分かれています。一番上の組織を「表皮(ひょうひ)」といいます。表皮もいくつかの「層」に分かれていて、一番上の層を「角層(かくそう)」といいます。角層は「角層細胞」が集まってできています。私たちが手で触っているのも、角層です。

表皮、角層、角層細胞についてご確認いただきました。ここから話を戻して、バリア機能を保つうるおい成分についてお話させていただきます。バリア機能はうるおい成分によって保たれている、とお話いたしましたが、そのうるおい成分は大きく3つに分かれます。

バリア機能を保つうるおい成分

皮脂膜

バリア機能を保つ3つのうるおい成分のひとつは、「皮脂膜(ひしまく)」です。
皮脂膜とは、角層の表面(皮膚表面)を覆っている天然の保護膜です。
皮脂腺(ひしせん)から分泌される皮脂(油)と汗腺(かんせん)から分泌される汗が混ざりあってできています。
皮脂腺の脂質は脂肪酸、スクワレン、リン脂質、コレステロールなどです。
汗のほとんどは水ですが、塩分なども含んでいます。
このように皮脂膜とは、水と油が混ざった「うるおいの膜」になります。

洗顔料を使って洗顔したあとに、たとえ顔がつっぱっても、しばらくすると自然に皮膚表面がうるおってくるのは、この皮脂膜のお陰なんですね。

NMF

ふたつめのうるおい成分は「NMF(エヌエムエフ)」といいます。
NMFとは、角層細胞の中にある保湿成分です。
天然保湿因子であるアミノ酸類、PCA(ピロリドンカルボン酸)、乳酸、尿素、クエン酸塩などの総称です。NMFとは、(Natural)ナチュラル(Moisturizing)モイスチュアライジング(Factor)ファクターの略になります。
肌の水溶性のうるおい成分であると同時に、化粧水などから与えられた保湿成分や水分を蓄えます

細胞間脂質

3つめは「細胞間脂質(さいぼうかんししつ)」です。
細胞間脂質は、角層細胞と角層細胞の間にある、セラミド、コレステロール、脂肪酸などの脂質の総称で、約50%をセラミドが占めています。油溶性のうるおい成分です。

角層細胞と細胞間脂質は、よく「ブロック」と「セメント」にたとえられます。
角層細胞がブロックでその周りを埋めているセメントの部分が細胞間脂質です。
セメントにたとえられる細胞間脂質は、角層細胞と角層細胞の間を埋め、接着剤のようにつなぎとめて、角層内の水分が奪われないようにしています。
バリア機能の要、と言われているのが細胞間脂質です。

「細胞間脂質」がバリア機能の要といわれる理由

細胞間脂質は、水分を抱え込み蒸発させないようにする力を持っています。この水分を抱え込み蒸発させないようにする力を、「水分保持能」といい、「うるおいを保つ力」を意味しています。
水分保持能の高さは人によって異なります。水分保持能の高い人は水分を抱え込み蒸発させない力が高く、水分保持能が低い人は水分を抱え込む力が低く、すぐ蒸発させてしまうということです。

水分保持能は、主にセラミドが担う

細胞間脂質の約50%を占めているのが、セラミドと呼ばれる成分です。
つまり水分保持能は、主に細胞間脂質にあるセラミドの量によって決まり、人により差が出ます。
セラミドが十分にある肌は、水分を抱え込み、蒸発させない状態を長い間保つことができます。

たとえば化粧水をつけたとします。セラミドが十分にある肌は、水分保持能が高いため、うるおい状態が長く続き、肌が乾きにくいのです。
反対にセラミドが少ない肌では、一旦は保湿成分を取り込むのですが、水分保持能が低いために、すぐに肌が乾燥してしまいます。
つまり細胞間がスカスカのザル状態になっているので、どんなにリッチな化粧水をつけて保湿したとしても、セラミドがなければうるおいを留めることができず、時間と共に肌が乾いてしまいます。

化粧品の役割

年齢を重ねるにつれて、バリア機能の状態(レベル)も良好に保つのが段々と難しくなります。このバリア機能の状態を良好に保つサポートをするのが化粧品の役割です。

化粧品の中には、皮膚がもとからもっている、「皮脂膜」「NMF」「細胞間脂質」の3つのうるおい成分をサポートする成分が配合されています。

皮膚の水溶性のうるおい成分をサポートしているのが「保湿成分です。
油溶性のうるおい成分をサポートしているのが「エモリエント成分」です。
水分は「水(精製水)」でサポートしています。

「保湿成分」は基本的には「水溶性のうるおい成分」を意味します。まれに「エモリエント成分」を含めて「保湿成分」と説明される場合がありますが、ここで表記している「保湿成分」は「水溶性のうるおい成分」を指しています。

私たちの肌は、バリア機能をサポートするお手入れとして、「水」「保湿成分」「エモリエント成分」の全てが必要となります。
そのために、ベーシックケアの3アイテムである化粧水・乳液・クリームは、このバリア機能のサポートを考えてつくられています。

化粧水は、保湿成分を主成分としています。 乳液は、保湿成分とエモリエント成分を配合し、両方の働きを兼ね備えています。 クリームは、どちらかというと、エモリエント成分の機能を高く持つアイテムとなっています。

肌本来の健やかな状態を保つために行う基礎的なお手入れ(コーセーのベーシックケアの定義です)

よくいただくご質問

よくいただくご質問があります。美容液とクリームの違いや、使用アイテムとしての優先順位の問題です。以下が回答になります。

Q.美容液とクリーム、どちらかひとつを選ぶならどっち? Q.美容液を使っていればクリームは必要ないですか?

A.優先順位としてはクリームになります。美容液を使っていてもクリームは必要です。

クリームの役割
クリームの優先順位の方が上なのは、クリームはバリア機能を保つうるおい成分のひとつ
である、「エモリエント成分」の機能を高く持つアイテムだからです。皮膚本来の健やかな状態を保つためには、バリア機能を保つうるおい成分のサポートが第一優先になります。
丁度良いエモリエント成分を補うと、美しいハリとしなやかさが生まれます。

美容液の役割
美容液も、テクスチャー(感触)がクリームのようにしっとりしているものも多いので、なんとなく「美容液を使うとしっとりするからクリームは要らないかも?」と思うかもしれません。
美容液の目的は、クリームとは異なります。クリームの基本的な役割がエモリエント成分
を与えることに対して、美容液は種類により目的がそれぞれ異なります。「美白美容液」には美白有効成分が配合されており、求める最大の効果は当然ながら「美白効果」になります。「保湿」を目的とした「保湿美容液」もあります。「保湿をする」という点で方向性は同じですが、エモリエント成分の補給を第一目的にしているとは限りません。

結論
美白美容液にも保湿美容液にも少なからずエモリエント成分は配合されているでしょう。ですが、「バリア機能をサポートする」ことが皮膚にとっては最も重要であるため、エモリエント成分の補給を第一目的にしているクリームが美容液より優先順位が高くなります。

ただ、皮脂の分泌が多い方は、乳液のみを使いクリームは未使用、という選択肢はあります。クリームがエモリエント成分の機能に特化しているのに対し、乳液は保湿成分とエモリエント成分の両方がバランスよく配合されています。乳液は、自分の肌に必要な油分の調節がしやすい、ハンドリングの良さが魅力と言えるでしょう。
(米肌では、油分量の調節がしやすいように、肌潤クリームと肌潤ジェルクリームをご用意しております)

※美容液はお肌のお悩みや肌状態など、個々のニーズに合わせて取り入れていただきたい、大切なお手入れ商品です。ここでは、基本のお手入れであるクリームとスペシャルケアである美容液(米肌の定義です)についてご説明させていただいております。

いかがでしたか?
バリア機能と化粧品の役割のお話をさせていただきました。
ベーシックケアは、肌本来の健やかな状態を保つために行う基本的なお手入れの基本となります。
ぜひ、取り入れてくださいね。

※1 全成分:コメエキス、配合目的:保湿 ※2 米ぬか・大豆発酵液/発酵ヒアルロン酸/発酵ポリマーV/2種のコラーゲン/グリセリン
上記全成分:米ぬか・大豆発酵液はバチルス/(コメヌカエキス/ダイズエキス)発酵液、発酵ヒアルロン酸はヒアルロン酸Na、発酵ポリマーVはポリグルタミン酸・キサンタンガム・アルカリゲネス産生多糖体・2種のコラーゲンは加水分解コラーゲン・水溶性コラーゲン
※3 年齢に応じたケア